[江國香織]ヤモリ、カエル、シジミチョウ

f:id:tonarino-nekoushisan:20171227223806j:plain

ここ数週間、お風呂のお供にしていた小説です。
昨夜、寝る前に一気読みして読了。

久しぶりの江國作品の文庫化にワクワクして発売日に購入。気になる作品は単行本で購入することも多いのですが、これは文庫化してからでいいかな、と後回しになっていたもの。
経験上、江國作品の長編は途中で飽きてしまう場合が多い。登場人物も多くなるし、感情移入しづらい人物も多くて。
この作品も私には長すぎたかなあ。これといってアッと驚く展開もないし。(それが江國作品ならではの好きなところなのですが。)

 

以下、ネタバレあり。

拓人。
育実。
奈緒:拓人と育実の母親。
耕作:拓人と育実の父親。
真雪:耕作の恋人。
児島:霊園の管理人。
倫子:奈緒宅の燐の住人。
千波:奈緒と拓人のピアノの先生。
志乃:千波の母親。

それぞれの登場人物を中心に据えた三人称で物語は進む。
時系列通り進み、それぞれのパートが順番に流れる。
千波の婚約者との婚約破棄の流れが気になって、他のパートを読み飛ばし、そのパートだけ先に読んでしまったり、変則的な読み方で前後しながら読みました。

登場人物、それぞれの価値観や考え方がものの見事にバラバラで、対比が際立つキャラ設定。
それぞれに正義や矜持があり、相容れないものへの哀れみや怒りが溢れている。
自分が正しくて相手が間違っていると思うのに、相手から否定され、疎外される哀しみがそれぞれの立場で表現されている。

育実と奈緒
奈緒と耕作。
奈緒と真雪。
奈緒と倫子。
千波と志乃。
千波と婚約者。
倫子と娘、孫娘。

 

「もういいかげん、むくれるのはやめてちょうだい」
母親は言う。むくれているのではなく怒っているのだ、ということが、なぜママにはわからないのだろうと育実は思う。怒っているのが私で、怒られているのがママなのに。

 

それぞれの物語が展開すると同時に、拓人と育実の成長物語でもある。
母親や父親との関わり。他の大人たちとのかかわり。お友達とのかかわり。
誰もが経験するような子供特有の世界観。そして、成長とともに失われる不思議な力と大切な記憶。
最後の5行にそのすべてが集約されていてハッとする。
私自身も何か大切な記憶や思い出を書き換えてしまっているのではないかと。

 

 

 

 

広告を非表示にする